LPレコードをジャンク屋で

先日久し振りにジャンク屋に出かけLPレコードを7枚ほど仕入れてきた。この店では以前多数の放出LPレコードが置いてあったがこの所枚数が極端に減少し値段も本当の意味でのジャンク値段に変わっている。プライス・タグが折り重なって張られており3000円、2000円、1000円、550円と言った具合に4枚のタグが付いている。もちろん最新の値段が550円である。中には250円という物もあった。4000円出しておつりが貰えた。もちろんジャンク屋であるためビンテージ的な掘り出し物は期待できずどちらかと言えば出所が不明確な物が多い。それでも結構面白い物が手に入るし音の質も決して悪くない。今回も幾つか変わり物があったが紹介したい。

Art PepperART PEPPER SEPTEMBER AFTERNOON Fantasy Records F9764(VIJ 6371)

アート・ペッパーのこのレコードは日本ビクターを通じて米国Fantasyレコード社のライセンスを得てフィリピンで製造されたようである。タイトルが「ART PEPPER SEPTEMBER AFTERNOON」となっているが中身は「ONE SEPTEMBER AFTERNOON」(Art Pepper - One September Afternoon (Galaxy GXY 5141; Fantasy OJCCD 678-2))と全く同じある。250円で購入したが音の質も悪くない。A面1曲目のMR BIG FALLS HIS J.G.HANDが素晴らしいがB面のBRAZILが実にハイテンポにサンバ曲を演奏し即興演奏(インプロビゼーション)の楽しさを感じさせる。

Frank Sinatra15 GRANDES DE FRANK SINATRA reprise LWIS 6143

フランク・シナトラの曲を15曲集めたアルバムだがメキシコ製である。盤が傷んでおり音も良くなくオーディオとしての価値はない。ジャケットもスペイン語で書かれているため良く分からないが内容はもちろんフランク・シナトラの歌である。

話は変わるがフランクシナトラの歌い方は歌詞を明瞭にしっかり発音して歌ってくれる。そのため彼が歌うと曲の歌詞が実に分かりやすい。彼ほど英語の発音をしっかりとして歌う歌手はいないのではないだろうか。聞いていて英語の勉強にも成りそうだ。彼の爪の垢を煎じて日本の若い歌い手さん達に飲ませてあげたいが、残念ながらシナトラは今此の世にいない。

Luigi BoccheriniLugini Bocherini・Gitarrenquintette Nr.1&2 TELDEC 6.42842

ボッケリーニ作曲のギター5重奏だがデジタル録音で更にDDM(Direct Metal Mastering)方式でプレスされたレコードである。
DDMとは西ドイツのTELDEC社が開発した音質改善のための画期的な方法で、マスターテープからメタル原盤に直接カッティングする方式である。
通常のレコードの製作は録音されたマスターテ-プからラッカー盤(凹盤)にカッティングし更にメタルマスター(凸盤)、メタルマザー(凹盤)そしてプレス用のスタンパー(凸盤)を作る。DDMの場合、マスターテープから直接メタルマザーにカッティングされるためラッカー盤とメタルマスター盤の製造工程が省略でき2工程少ない分だけ音質改善の効果が高まる。

DDM出現以前の音質改善の手法として所謂Direct Cutting方式と言われるものがあった。この方法ではマスターテープを使用せず演奏そのものを直接ラッカー版にカッティングしてマスターテープによるノイズを介在させない方法が採られたがDDMに比べれば1工程省略しただけである。

更にテープ録音ではなく演奏そのものが直接ラッカー盤に録音(カッティング)されるため演奏のやり直しがきかず演奏者自身に可成りの緊張感を与えることから演奏そのものに伸びやかさに欠ける分が出てしまう。その意味でDDM方式は画期的であり1980年代 のLPレコードの切り札として世に出たのだが。残念ながらCDの世界に席巻され結局はLPレコードそのものがすたれてしまった。

このアルバムはクラッシックである。私はクラシックは苦手で論評のしようもないが確かに音の質は素晴らしい。面白いのは録音がデジタル録音である点であろうか。デジタル録音のメリットは分かるが最終的にはカッティングという最も原始的な形でアナログ化されてしまうのでさほど効果は無いのではないかと思うのだが。

Marsalis「Fathers & Sons」Collumbia Records FC37972

A面がマルサリス家親子とB面がフリーマン親子の競演によるジャズ・レコードである。やはりA面のウイントン・マルサリスのトランペットが飛び抜けて素晴らしい。ウイントン・マルサリスと言えば現代のジャズ界をリードし、マイルス・デービスの再来かと言わしめる程の名トランペッターである。

小説家村上春樹の著書「意味がなければスイングはない」の中で彼の演奏は退屈だという記述がある。素晴らしいテクニックで演奏するそのスタイルに対して余りにも原理主義的過ぎて退屈させられると感じるらしい。そう言われてみるとかつて米国駐在時代に何回となくテレビで見た彼の演奏がこれ見よがしのテクニックを披露し余りにも窮屈な演奏であったことを思い出した。

それでも彼のトランペット演奏は濁りが無くシャープで素晴らしいの一言に尽きる。最近では兄のブランフォード・マルサリスと組んでトランペットとアルトサックスの2管で一切の電子楽器を排除するスタイルを貫いているらしい。その辺が彼のジャズに対する原理主義が感じられるのであろうか。B面のフリーマン親子については正直言って余り知識を有していないがA面の演奏に比べるとちょっと迫力に欠ける。

Hank Jones「HANK JONES JUST FOR FAN」 Victor Musical Industries, Inc SMJ-6215

ハンク・ジョーンズが未だ元気に活躍しているとは知らなかった。今来日して演奏活動をしているらしい。1918年生まれだから今年90歳に成るはずだ。
彼のピアノ演奏を聴いているとさすがにベテランらしい正統派ピアニストの味がある。
何をもって正統派と言うのか自らそのように表現しながら定義づけ出来ない私の苦しさがあるが彼の良さは主としてジャズのスタンダード曲を好んで演奏するところに有ると思えるのだ。どちらかといえばイージーリスニング的スタイルのピアニストであろうか。長い間スタジオミュージッシャンとして過ごしてきた経歴がそうさせているのかもしれない。別の言い方をすれば万人に愛されるジャズピアニストと言えそうだ。
このアルバムの中でもA面のLULUBYは彼の作品で素晴らしい演奏を披露している。音も悪くない。

Sonny RollinsSONNY ROLLINS・REEL LIFE Milestone Records M-9108

ソニー・ロリンズと言えば「SAXOPHONE COLOSSUS」が余りにも有名だが、一時期ジャズ界から姿を消した時期もありながらマイルス・デービスと同じように常に進化を遂げ続けながら生きてきた演奏家だ。

後半はフージョンにも手を出しているしこのアルバムでは日本人ギタリストの増尾好秋を加え増尾自身の作曲である「SONNY SIDE UP」が演奏されている(ジャズの曲名には英語の韻を踏む駄洒落に近い物が多い。これもSUNNY SIDE UPの韻を踏んでいる)。
このアルバム全体で感ずるのはソニーロリンズの演奏スタイルが実にハイ・トーンで有ると言うことだ。サックスの音が強烈でトランペットの様な感じさえする。「SAXOPHONE COLOSSUS」の頃の演奏と比べると大きく変化している。

Woody Herman
Woody Herman 02WOODY HERMANM METROユS EXCITING WORLD OF MUSIC Metro-Golden・Mayer, Inc M-514

ウディ・ハーマンのレコードは何枚か所有しているがいずれも1970年代のものだ。しかしこのレコードは可成り旧そうだ。盤そのものも可成り傷んでおりプチパチとノイズが激しい。

しかし私にとって嬉しいのはジャケットの裏側である。レコードの宣伝ジャケット写真が載っている。カントリーのハンクウイリアムスやロイエカフ、ポップスのコニー・フランシスやコンウェイ・ツイティ、ジャズではジーン・クルーパーやエラ・フィッツジェラルド、カウント・ベーシー, 映画音楽ではベンハーやDAVID ROSEによる映画音楽集といった具合である。全てが私の青春時代の音楽である。ジャケットには年代が記入されていないが恐らく1960年代前半頃のものだろうか実に懐かしい。

テーマ : 本日のCD・レコード - ジャンル : 音楽

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